泣きっ面にハチ!
ここのところシャモニーは日中はジリ
ジリする暑さで夕方になると夕立と雷
のパターンが続いている。この夕立が
たいていは1時間程度で止むのだが昨
日は違ってた。2時間経っても3時間
経っても降り止まず、バケツをひっく
り返すとはこのことかというぐらい降
った。おまけに終わり際には大粒のヒ
ョウが容赦なく通行人を叩きつけた。
ここであれっと思った人は多いいと思
うが、傘をさしてうろうろしている日
本人と違い欧州人はこのくらいの大雨
でも、たとえヒョウが降っていてもカ
ッパ一つで何一つ気にしないで街を闊
歩している。お国柄というものだろう。
さて私はというと、ご想像の通り折り
たたみ傘をさしてマスクをしてお客さ
んと打ち合わせをすべくホテル・リッ
シュモンドに向かっていた。なぜマス
クをしていたかというと実は先月から
歯の詰め物が取れてしまい放っておい
たら左ほっぺが腫れてきたのだ。カッ
パ一つで街の中を闊歩している欧州人
から見れば、なんと奇妙な人と思われ
ただろう。大体こちらではよほどの伝
染病でない限りマスクはしない。絶対
にしない。していたらほぼ間違いなく
東洋系の旅行者だ。
ホテル・リッシュモンドは街の目抜き
通りのど真ん中にある。とても便利な
位置にあるのはいいが時々夜遅くまで
ガキどもが酔っ払っていてうるさい。
シャモニー来てみると分かるが大人は
どんなに飲んでもおとなしいことが多
い。やかましいのはみんなヤングばか
り。日本のようにサラリーマンが仕事
帰りに新橋の屋台で愚痴をこぼしなが
ら大声で叫ぶなんてことはまずない。
ちなみにこちらのバーは1杯3ユーロ
のワインや5ユーロの中ジョッキビー
ルだけで何時間いても嫌な顔をされる
ことはない。それも程度ものだが、、
もうかれこれ20数年来ているがこち
らはおつまみを頼む習慣がないのだ。
このホテルリッシュモンドのすぐ前に
あるバーはピーナッツしかおつまみの
メニューがない。嫌な顔一つせず、ゆ
っくりと1日の疲れを癒す心地よい環
境を提供してくれているのだ。 私は
いつも2〜3時間1〜2杯のワインだ
けでジャズなどを聞いて一人思いにふ
けって飲んでいる。
実は昨日も、お客さんとの打ち合わせが
終わって帰ろうと思ったら、友人にバッ
タリと会ってしまった。話の弾みでうっ
かり歯が痛いのを忘れて飲んでしまい。
飲み終わった後は後悔とともに朝から歯
医者さんを探しまくるはめになった。
地元の人に聞きまくってやっと三軒目に
訪れた歯医者さんで予約が取れ、先ほど
抜歯をしてきたのだ。おかげで今日は一
日中痛み止めと抗生物質を切らさずドク
ターから言われた量の少し多めに飲んで
いるが1日中憂鬱さは消えないでいる。
私が調子付いて山岳ガイドだって話した
ものだから、今日は決して激しいことは
してはいけません、というきつい指示を
出され窓全開でふてくされたようにベッ
トで寝ているとこんどは右腕がチクっ
「ぎゃ!」あわてて脇の下に手を入れ小
さな昆虫らしきものをひっぱり出すと
それは紛れもなく蜂さんだった。
昨日ヒョウの中びしょびしょで帰ってき
て少し風邪気味になり、その上歯が腫れ
て抜歯したためゆっくり眠ることもでき
ず、おまけにこれでもかってハチが、、
こんなおチビちゃんなのに痛さ1〜10
のうちで8ぐらい痛い。なんて1日だ。
そういえば、数年前にも素敵なカップル
を案内させていただきツアーも終盤に差
し掛かかったので、みんなで夕食という
時にやはり歯が痛くなってしまったのを
思い出した。この時はロキソニン/痛み止
めとメイアクト/抗生物質をひたすら飲み
続けてことなきを得たのを覚えている。
今、日本で私とは比べ物にならないくら
い頑張っているこのご夫婦に、焦らずじ
っくり身体を治してくださいとシャモニ
ーよりエールを送りたい。
胸に手を当てて「大丈夫、大丈夫」と
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