東北旅情、、
いま日本全国の消防署の多くは深刻な問題を抱えている。というのも地方の広域消防の管轄について、いままで山岳遭難事案などは地元の警察や消防団に任せていたのだが、広域消防になってからは都市部の消防署の対応範囲が山間地にも広がってきたからだ。
ここ宮城県南部の仙南地区亘理消防署も例外ではなく山間地からの救助要請というか介助下山の依頼が年を追って多くなってきているという。
春には山菜取り、秋にはキノコ取りに出かけて帰宅時間になっても帰って来ないので探して欲しいと依頼てくる。このような類は決まって天気が下り坂の夕方か、夜になってからが多い。
残念なことに人の命の救命を仕事としている消防士は都市型救助しか消防学校で習って来ない。山の救助は気象条件やそれに適した服装、装備、ロープの違い(消防学校では三打ちロープを使う)はたまた支点の構築や引き上げ、搬送システムなども違ってくる。彼らは公僕として要請があれば何処だって不安を抱えながらでも出動していかなかればならない。
そんな彼らに対し消防庁のお偉方が「長岡、ちょっと行ってみてきて相談に乗ってやってくれ」と私に伝えてきたのは昨年のことだった。
私も昨年母を看取って一段落したのでやっと時間ができた、、、
というのは建前で、いつだって何かくだらない事をただひたすらバタバタとしているだけなのだ。
とにかく、春には白石川沿いに咲く千本桜は実に見事だというここ宮城県大河原町に来た。ここは銘菓「萩の月」の工場もある。話によれば先代の社長はこの辺の出身だという。私がそうですか、有名ですよね。私は大好きです、などと話していたら、なんとこの「萩の月」をお土産にいただいてしまった。よほど物欲しげに話していたのかもしれない。
長々と書いておいて恐縮だが、仕事の話はどうでもいいのだ、ここ大河原駅のホームに佇んでいると通学生のスマホ話や地元のオッチャンの会話が聴こえてくる。このような情景を風情というのだろうか、なぜか自然と微笑ましくなってくる。 私は東北の情緒が本当に好きなのかもしれない。
ふと車窓を眺めると大きな虹が見えた。
「行くぜ、東北!」
こんな言葉のキャッチフレーズが今日はとても新鮮に感じる日だった。
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