国際山岳ガイドのブログ

エッセイ、ひとりごと、山の話、シャモニー、グリンデルワルト、ツェルマット、山岳ガイド、パラグライダーのお話 国際山岳ガイドNAGAOKAのアクティブ日記

2018/08/08

泣きっ面にハチ!

ここのところシャモニーは日中はジリ

ジリする暑さで夕方になると夕立と雷

のパターンが続いている。この夕立が

たいていは1時間程度で止むのだが昨

日は違ってた。2時間経っても3時間

経っても降り止まず、バケツをひっく

り返すとはこのことかというぐらい降

った。おまけに終わり際には大粒のヒ

ョウが容赦なく通行人を叩きつけた。

ここであれっと思った人は多いいと思

うが、傘をさしてうろうろしている日

本人と違い欧州人はこのくらいの大雨

でも、たとえヒョウが降っていてもカ

ッパ一つで何一つ気にしないで街を闊

歩している。お国柄というものだろう。

さて私はというと、ご想像の通り折り

たたみ傘をさしてマスクをしてお客さ

んと打ち合わせをすべくホテル・リッ

シュモンドに向かっていた。なぜマス

クをしていたかというと実は先月から

歯の詰め物が取れてしまい放っておい

たら左ほっぺが腫れてきたのだ。カッ

パ一つで街の中を闊歩している欧州人

から見れば、なんと奇妙な人と思われ

ただろう。大体こちらではよほどの伝

染病でない限りマスクはしない。絶対

にしない。していたらほぼ間違いなく

東洋系の旅行者だ。

ホテル・リッシュモンドは街の目抜き

通りのど真ん中にある。とても便利な

位置にあるのはいいが時々夜遅くまで

ガキどもが酔っ払っていてうるさい。

シャモニー来てみると分かるが大人は

どんなに飲んでもおとなしいことが多

い。やかましいのはみんなヤングばか

り。日本のようにサラリーマンが仕事

帰りに新橋の屋台で愚痴をこぼしなが

ら大声で叫ぶなんてことはまずない。

ちなみにこちらのバーは1杯3ユーロ

のワインや5ユーロの中ジョッキビー

ルだけで何時間いても嫌な顔をされる

ことはない。それも程度ものだが、、

もうかれこれ20数年来ているがこち

らはおつまみを頼む習慣がないのだ。

このホテルリッシュモンドのすぐ前に

あるバーはピーナッツしかおつまみの

メニューがない。嫌な顔一つせず、ゆ

っくりと1日の疲れを癒す心地よい環

境を提供してくれているのだ。 私は

いつも2〜3時間1〜2杯のワインだ

けでジャズなどを聞いて一人思いにふ

けって飲んでいる。

Img_1332

実は昨日も、お客さんとの打ち合わせが

終わって帰ろうと思ったら、友人にバッ

タリと会ってしまった。話の弾みでうっ

かり歯が痛いのを忘れて飲んでしまい。

飲み終わった後は後悔とともに朝から歯

医者さんを探しまくるはめになった。

地元の人に聞きまくってやっと三軒目に

訪れた歯医者さんで予約が取れ、先ほど

抜歯をしてきたのだ。おかげで今日は一

日中痛み止めと抗生物質を切らさずドク

ターから言われた量の少し多めに飲んで

いるが1日中憂鬱さは消えないでいる。

私が調子付いて山岳ガイドだって話した

ものだから、今日は決して激しいことは

してはいけません、というきつい指示を

出され窓全開でふてくされたようにベッ

トで寝ているとこんどは右腕がチクっ

「ぎゃ!」あわてて脇の下に手を入れ小

さな昆虫らしきものをひっぱり出すと

それは紛れもなく蜂さんだった。

Img_1333

昨日ヒョウの中びしょびしょで帰ってき

て少し風邪気味になり、その上歯が腫れ

て抜歯したためゆっくり眠ることもでき

ず、おまけにこれでもかってハチが、、

こんなおチビちゃんなのに痛さ1〜10

のうちで8ぐらい痛い。なんて1日だ。

Img_0480

そういえば、数年前にも素敵なカップル

を案内させていただきツアーも終盤に差

し掛かかったので、みんなで夕食という

時にやはり歯が痛くなってしまったのを

思い出した。この時はロキソニン/痛み止

めとメイアクト/抗生物質をひたすら飲み

続けてことなきを得たのを覚えている。

今、日本で私とは比べ物にならないくら

い頑張っているこのご夫婦に、焦らずじ

っくり身体を治してくださいとシャモニ

ーよりエールを送りたい。 

胸に手を当てて「大丈夫、大丈夫」と

投稿時刻 01:15 ひとりごと, エッセイ | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)

2018/08/02

アイゼン・カンバック

そういえば、アイゼンの話を書いてなかっ

た。ちょっと前のスイスの山/アイガーを

登っての帰り道、もう最後というところで

平坦の雪原だからアイゼンは脱いでザック

に付け乾かしながら帰ろうと思い適当にザ

ックに付けて歩いてました。

普段人ごみや公共の乗り物などに乗るとき

は、私はいままで絶対にザックに付けない

のを信条としてきました。ガイド検定でも

そうでした。ヨーロッパでロープウェイに

乗るときは必ず背負っているザックを降ろ

してピッケル・ストックは手に持つように

アナウンスがあります。移動しているとき

そこには子供もお年寄りも身体の不自由な

人もいます。ザックに付けているアイゼン

ピッケルは凶器になっていることを山に入

る人は理解しなくてはなりません。

で、話はもどして誰もいない雪原だからこ

こは良いかなとザックにアイゼンを付けて

ユングフラウヨッホまで戻ってくると、な

んとアイゼンが片方無い。暗いうちからア

イガーに登って降りて歩きてきた私には戻

って探す勇気がありませんでした。まだこ

れからだという時にアイゼンがなければ仕

事になりません。仕方なくこちらで新しい

のを買うかと思って諦めてアパートに帰っ

たのでした。

アパートに帰ってからこの日はグリンデル

ワルト在住の友人がアイガー登頂祝いに駆

けつけてくれました。嬉しい話です。日付

が変わるまで呑み明かした時、自分のしで

かしたお粗末なアイゼンの話もしながらワ

インを飲んだのでした。

そして、次の日友人ガイドがちょうどユン

グフラウヨッホのハイキングでした。私が

落としたかもしれない場所に差し掛かった

時ハイキングしながら一生懸命探してくれ

たようでした。(お客さんの話)そしてメ

ンヒヨッホ小屋で休憩中にCTのアイゼンを

見つけ「これは」と尋ねると先日の落とし

物だとのこと、彼はすぐに私の連絡を取り

アイゼンのメーカーはCTですかと聞いてき

ました。私は奇跡のような気持ちでそうで

す、その通りです。

人の気持ちに触れた瞬間でした。いままで

厳しいことばかりだった私はジーンと目頭

が熱くなりました。一年に一度会うか会わ

ないかのスイスの友人が、自分自身戻って

探す気力もなかったアイゼンを真剣に探し

てくれたのでした。

その後マッターホルンやマルチクライミン

グを登った時も道を譲ったり、新人を助け

てあげたりとなぜか人に優しい自分がいま

した。いつまで続くことやら、、

でも本当に嬉しい出来事でした。

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投稿時刻 23:30 ひとりごと, エッセイ | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)

2018/08/01

Chamonix Face

シャモニーのアパートから見た午後9時の

エギュードミディいわゆるシャモニーフェ

ースです。今日はレストゆっくり休んでい

ます。フランスはあまりお風呂の文化がな

くほとんどの人が一年中シャワーだけです。

バスタブは観光客の為のようなものですね。

無類の温泉好きの私には酷というか拷問み

たいなものです。休みの日にはゆったりと

温泉に浸かりたいです。

翳りゆく夕陽を浴びて真っ赤に染まった針

峰群をみながら、’一瞬の燃える山見て汗

拭う’ などと情緒に浸って先日のマッター

ホルンやアイガーの辛かったことを思いだ

していると、フランス人が説明してという

から英語でI wiped the sweat while wa

tching a red mountain that burns for

a moment.と頑張って伝えたら「それで、

、、」「それがどうしたの?」と聞かれた。

全く情緒というものがわかっていない。

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投稿時刻 22:20 ひとりごと, エッセイ | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)

2018/07/22

グリンデルワルトre6

 布団から出た瞬間「はっくしょん」と大

きなくしゃみを一発、昨日友人と飲んでい

た私は半袖半ズボンのまま長椅子に寝てし

まっていた。窓を開けると今日のグリンデ

ルは朝から小雨が降っていて肌寒い。これ

では山に行く行動はできない。今日もレス

トになりそうだ。考えてみれば本当にいい

時にアイガーに登れたものだ。一日ずれた

だけでまったく違う結果になってる人も随

分いるのだ。これを運というのだろうかと

一人ほくそ笑んでいると、もう一度「はっ

くしょん」と、やばいこのままでは風邪を

ひいてしまうので先ずは暖かいコーヒーを

飲むとしよう。

Img_1155

 窓の外は雲底の下がった重い空気が立ち

込めている。いつものことだが今日は特に

街全体が静かなきがする。グリンデルツア

ー中お客様は私の定宿にしているレイマン

Hに泊まっていただいているが、私はいろ

いろな事情があり前半しばらくは友人宅に

居候している。今日はみんな出払って私だ

けになった。暇なので遅い朝コーヒーを飲

みながら考えた。先日登ったアイガーのミ

ッテルレギ小屋を初めて建てた時、当時の

お金で1万スイスフランを槇有恒/まきゆう

こう氏が寄贈したのだ、彼は日本人の登山

家で1921年大正10年にグリンデルワルト

の山岳ガイド3人と東山稜/ミッテルレギ稜

を初登頂している。その後もいろいろな日

本人がアイガーを目指し、ここグリンデル

ワルトと日本はいい関係を築いているようだ。

 初代ミッテルギ小屋の入り口(ドア)が

グリンデルワルトにあるモンベルショップに

飾ってあるので是非見て欲しい。また来年2

019年ミッテルレギ小屋は新しく建て替える

予定だ。この様子はグリンデルワルト駅の近

く街の中心ににあるCOOPに入る入り口左手

にある物産館的なショップで見ることがで

きる。

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投稿時刻 17:33 お知らせ, ひとりごと, エッセイ | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)

2018/07/03

谷川岳一ノ倉沢/中央稜

谷川岳は双耳峰でトマの耳・オキの耳と呼ばれているが、その昔トマの耳は薬師岳・オキの耳は谷川富士と呼ばれていたそうだ。そして谷川岳という名は隣の俎嵒/マナイタグラに与えられていたようだ。今はこのトマの耳・オキの耳や一ノ倉岳も含め全体的に「谷川岳」と呼ばれている。

一ノ倉沢は日本三大岩場の一つでもあり、そのど真ん中にあるテールリッジから直線的に走っている中央稜は烏帽子奥壁と衝立岩との境目でもあるリッジだ。私はかれこれ100回以上は登っていると思うが今だに毎回緊張する。その昔残雪期には一ノ倉沢出合からテールリッジを登り中央稜の取り付きまでは45分と決まっていた。1時間を超えるようだったら「またおいで」という感じだ。もちろん今は山岳ガイドなので疲れを溜めないという意味でも逆に1時間以上は必ず掛けるようにしている。

谷川岳ロープウェイの駐車場を朝5時から歩き始め、1カーブ曲がって登ると「谷川岳登山指導センター」がありここで計画書を出していくのだが、これは県条例で決まっているので出さなければ条例違反として行政処分を受ける。今ここの所長は古くから馴染みのマコトさんだ。この日は若い隊員が幽ノ沢/中芝新道近くの草刈りらしく、草刈機を積んだ軽トラックがこの時間すでに止まっていた。登山指導センターの人が見えないところで登山道をしっかりと整備をしてくれているのだ。挨拶をすませ計画書を渡し一ノ倉沢出合まで約一時間半の道のりを歩き始める。

一ノ倉沢出合にはまだ雪渓がいっぱい。軽アイゼンを装着し弱点をついて登って行くのだが今日はまだ誰も見ない、後で分かったことだが今日は私たちを含め3パーティのみ、中央稜に関しては我々のパーティだけで貸切状態、周りに気を使うことなくとても気持ちよく登ることができた。

周囲にはまだ雪渓が残っているせいか、登り終わった時に感じる心地よい風がひんやりとしていて労を癒してくれる。烏帽子の麓で味わう非日常的なこの瞬間がたまらない。

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投稿時刻 13:14 ひとりごと, エッセイ | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)

2011/09/02

釣って登る好奇心・・

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またまた、写真を整理していたら

こんな素敵な絵はがきが出てきた。

送り主は ちーぼぅ でも女の子

でもは失礼か、かわゆい女の子、ちなみに

ちーぼぅ とは私だけが呼んでいる。

本当はみんなから

ちーちゃんと呼ばれているようだ。

先日、赤城沼漁協の話では冬の名物で名高い

ワカサギを採取してセシウムを調べたところ

基準値を超えた値が検出された。

本来9月1日解禁のワカサギ漁も当面は延期。

毎年冬になると、ちーぼぅに取り立ての

ワカサギを冷凍して送っているが

今年はどうなる事やら。

この子供達の為にも、一刻も早く放射能の

驚異から解放させてあげたい。

この絵はがきを見ていると

そう願わずにはいられない。

投稿時刻 15:33 エッセイ | 個別ページ | コメント (1) | トラックバック (0)

2010/02/15

遠い昔

P29


みなさん

この温泉知っていますか?

水上の奥、たぬきのお宿で有名な

湯ノ小屋/洞元荘の ぬぁんと

混浴風呂です

今日はテレビの仕事のお手伝いで

泊まらせていただきました

実はかれこれ50年近く前

私はここに泊まったことがあるのです

たしか それは 

父親と奥利根に釣りに行ったときです

親父が仕事で使っていた三輪車、たぶん

ダイハツのミゼットだったと思いますが

それに二人して颯爽と乗り込み

高崎の自宅から朝まだ明けないうちに

出かけたのです

もちろん当時は関越道路などはなく

奥利根へは一大決心で行くのです

水上を過ぎて湯桧曽川を右へ渡り

宝川への道を行くと、街頭はもちろん

ほとんど民家の灯りさえありませんでした

水たまりだらけのデコボコ道が延々と

続いていました

私のかすかな記憶でも、水上から

湯ノ小屋までがとても長かった事と

ずいぶん心細かったことだけは鮮明に

覚えています

何を釣ったかは覚えていないのですが

とにかく釣りが終わって、その日の夕方

帰路についたのです

藤原からしばらく行くと、あたりは

もう暗くなってきていました

そんな折、途中大きなくぼみがあって

そこに車が乗り上げてしまい

動かなくなったのでした

二人して車を押したり、引いたり

したのですがダメでした

すると親父は私を車において

助けを呼びに行ってくると暗い夜道を

歩き出したのです

そこからが試練でした

待てど暮らせど 親父は戻ってきません

もう心配で、心細いやら、怖いやら

限界だったのを覚えています

しばらくして たしか親父は洞元荘の

人と一緒に車に乗って私を

迎えに来たのです

その日は親父と一言も口をきかないで

洞元荘で寝たような気がします


08


今日は仲居さんのように

布団やら食事やらかけずり回って

いた写真の人に、この話をしました

当時のお礼を言ったら、とても喜んで

いろいろ親切にしていただきました

女将さんだったのですね


HPをみてビックリです

投稿時刻 23:15 エッセイ | 個別ページ | コメント (3) | トラックバック (0)

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